宇宙ビジネスはなぜ盛り上がっているのか?北海道から探る新たなエコシステム

Date : 2020/01/20

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ASCII START UPによるNoMapsレポートがアップされています。
NoMaps2019ビジネスカンファレンス「さくらインターネット Presents 北海道宇宙ビジネスサミット」の取材レポートです。
 
NoMaps 2019 セッション「北海道宇宙ビジネスサミット」レポート

宇宙ビジネスはなぜ盛り上がっているのか?北海道から探る新たなエコシステム

2020年01月11日 07時00分更新  文● BookLOUD 根本 編集● 北島幹雄/ASCII STARTUP

北の大地で宇宙ビジネスに取り組むバラエティに富むプレイヤー達

本セッションでは北海道で活発に活動している宇宙ビジネスのプレイヤーが、北海道における宇宙ビジネスを発展させるには何が必要か、どのような宇宙産業のエコシステムを築いていくのかなどといったテーマで議論を戦わせた。セッションに参加したのはインターステラテクノロジズ 代表取締役社長 稲川貴大氏、同社取締役 堀江貴文氏、北海道大学 公共政策大学院 鈴木一人教授、さくらインターネット株式会社 代表取締役社長 田中邦裕氏、ポーラスター・スペース 代表取締役 三村昌裕氏の5氏、モデレーターは一般社団法人 SPACETIDE 理事兼COO 佐藤将史氏が務めた。まず各登壇者が現在、どのようなモチベーションを持って、どのような形で宇宙ビジネスに取り組んでいるのかというところから話が始まった。



佐藤(以下すべて、敬称略):SPACETIDEは宇宙ビジネスをテーマにカンファレンスやネットワーキングイベントを開催しており、その知名度を高め、エコシステムに参加するプレイヤー同士をつないでいる。

 現在、宇宙ビジネスに乗り出しているベンチャー企業は全世界で2000社くらい。年間数百社ほどのペースで増えていっている。市場規模は世界全体ですでに40兆円程度まで達していると言われている。2040年には100兆円~300兆円になるという推計もある。世界60カ国以上の政府が宇宙開発を目的とした機関を設立しており、その半数くらいが宇宙ビジネス企業を育てていこうという動きを見せている。

 宇宙開発というと「ロケット」というイメージがあるが、それだけではない。ロケットを作り、それで衛星を運び、衛生が送信してくるデータを使って地上でビジネス展開している。今後は、例えば衛星ごみの処理、衛星位置の調査サービス、資源開発、そしてモノだけでなく人間が宇宙に行く宇宙旅行などもこれからのビジネスになるだろう。

 現在日本では、国が主導権を握って宇宙開発を進めており、政府の下に大手企業があり、その下に下請けとなるサプライヤーがいるというピラミッド構造を作っている。これからの宇宙ビジネスを発展させるには、異業種企業やコンサルティングファーム、法律家などを交えたフラットな構造で、政府と民間が手を組む新しいエコシステムを構築していかなくてはならないと考えている。

 ここに300名を超える聴衆が集まったことからもわかるように、「宇宙ビジネス」という単語はすでにバズワードと化している。壇上の皆さんは宇宙ビジネスの先駆者として活動しているが、聴衆の皆さんとの間には、「宇宙ビジネス」という言葉の意味においてもギャップが生じているのではないかと感じている。そこでまず壇上の皆さんから、その感触、なぜ今「宇宙ビジネス」が盛り上がってきているのか、意見をお聞きしたい。