NoMapsが展開するウェビナ―シリーズ「Deep Dialog」。私たちを取り巻く環境が大きく変化する中、これからの未来を切り開く方々をゲストに招き、今後の行動のきっかけとなる創造的なコミュニケーションの場を目指しています。
この記事では2021年1月26日開催についてレポートします。
今回のテーマは「ナイトライフ」。これまで数多くの文化を生んできたヴェニューやパーティーは、新型コロナウイルス感染拡大により世界的に犠牲となっています。そんな中でナイトカルチャーの復興活動、そしてその未来について、対談を行いました。
鎌田 頼人さん (ナイトデザインカンパニーNEWSKOOL CEO / 渋谷区観光協会観光フェロー)
村田 雅宏さん (株式会社ウエス / ディレクター)
服部 亮太さん (クリプトン・フューチャー・メディア株式会社ローカルチームマネージャー)
ナイトカルチャーを存続させる
合同会社NEWSKOOL CEOの鎌田さんは、渋谷区におけるナイトカルチャーのコンサルティングを行ってきました。現在渋谷区では、新型コロナ対策によって大きなクラブの営業は不可能です。クラブにコワーキングスペースを作るなどの工夫をしている店舗もありますが、多くの収容人数の大きい施設は生き残るのが難しい状況です。
そこでNEWSKOOLでは、今回の新型コロナウイルスによって営業が難しい業者のために、「GLOBAL NIGHTTIME RECOVERY PLAN(以下、GNRP)」というガイドラインの日本語版の作成に関わっています。このガイドラインは、世界各国の有識者が立ち上がり、ナイトタイムエコシステムに関わるすべての人に安全かつ有意義な復興計画の作成を目的としています。
現在、第2章まで翻訳、共有が行われており、今後順次第7章まで公開されていく予定です。
公開されているガイドラインの内容
GNRPの第1章は、感染拡大防止のために注目される屋外空間に焦点を当てています。これは目的にあわせ、1. 屋外空間の飲食、2. 屋外空間のイベント、3. 自由に人が集まれるフリースペース、の三つに大別され、それぞれの課題とケーススタディが記載されています。また、屋外では「音の管理」も重要な問題であり、6つの対応策が書かれています。
第2章では、ダンスフロアを安全かつ有益な事業として提供するための挑戦が書かれています。これには、時短営業による売り上げ減少の解決法のほか、事業者にとって実践的な内容も含まれます。また仮想空間での実験的なイベントや、差別のないダンスフロアの実現など内容は多岐に渡ります。
鎌田さんは、小さなトライアルを起こして学び、業者の方々同士でコミュニケーションをとることが、ダンスフロアの存続のつながっていくと話します。
行政と民間の協力
ナイトカルチャーの存続のためには、行政の協力が欠かせません。村田さんは、北海道は早くにコロナが入ってきたので、それに対応する方法として、団体で行政と交渉するシステム「北海道ライブ・エンテインメント連絡協議会」が結成されたと説明します。これにより、街中の文化を継続させる試みが多くなされました。コロナ前から行政と連携して運営してきたNoMapsをきっかけに、今年高校生のテクノバンドがソーシャルメディア上で話題が沸騰するなど、オンライン上での試みも成果を出す形となりました。
鎌田さんは、NEWSKOOLの現在の役割も主催者側から行政とDJやクラブを繋ぎ、対話を促すことへと変化した、と語ります。
まとめ
苦しい状況が続く中で、オンラインの有効活用や行政との対話の機会の増加など、逆境によって得られたものも多くあります。ナイトライフ復興への道筋の模索や、コロナ後を見据えた取り組みがナイトライフをさらに活発なものへと変化させていくことは間違いありません。