ウェビナーシリーズ「Deep Dialog」第9回レポート

Date : 2021/8/25

Shere :

NoMapsが展開するウェビナ―シリーズ「Deep Dialog」。私たちを取り巻く環境が大きく変化する中、これからの未来を切り開く方々をゲストに招き、今後の行動のきっかけとなる創造的なコミュニケーションの場を目指しています。
この記事では2021年7月14日配信についてレポートします。

今回はフェムテック製品の販売や企業へのコンサルティングを行うfermata​株式会社の共同創業者で/ CCOの中村寛子さん、託児常設コワーキングスペースの設立などを手がけるイロドリトイロ株式会社代表取締役の新岡唯さんにお話を伺いました。

 

中村 寛子 fermata株式会社 共同創業者/ CCO
新岡 唯 イロドリトイロ株式会社 代表取締役
山岸 奈津子 NoMaps実行委員会広報PR担当
服部 亮太 クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 / NoMaps実行委員会

 

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fermata創業の背景

フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(技術)からなる造語であり、2012年頃から欧米を中心に発展してきた市場です。一般的な定義としては、生理や妊娠などにまつわる女性特有の健康課題を解決するために開発された、テクノロジーを用いたプロダクトやサービスを指します。 fermataでは、女性自らが課していたり、社会から課されている、心身にまつわる固定観念や価値観を変容するムーブメントもフェムテックの重要な側面と捉えて活動しています。

中村さんがフェムテック分野で起業に踏み切った背景には、仕事に追われる多忙な生活の中で無意識に心身の悲鳴を押さえ込むように頑張っていたところ、ある時一気に不調に陥ってしまった自身の経験があるそう。そこで自分の体や心に耳を傾けることの大切さを身をもって学んだと語ります。キャリアもお金も頑張ればその後取り返せる可能性があるが、健康は取り返しがつかないことが多い。ウェルネスの重要性を体感し、自身も手掛けたいという思いが強くなったそうです。

共同創業者のAminaさんと多くの議論を重ねる中で、多くの女性は自分の身体や健康問題についてタブー視していることに気づいたそう。本来タブー視する必要など全くないのに、なぜタブー視しなければいけないのか?まずはそのカルチャーから変えていくべきだと、創業を決心したと語ります。

中村さんとAminaさんは当初、ホルモン状態をチェックできるキットを作ろうと考えたそう。自身の身体を知ることは、その後のライフプランを考え様々な選択をするうえで有用です。しかし当時はまだ国内にフェムテックが浸透していない時期。海外市場では様々なプレイヤーやサービスが生まれているにも関わらず、日本にはほとんど入ってきていない状態でした。そこでfermata​は方向転換を行い、自分たちがいきなりプロダクトを作るのではなく、まずはすでにあるプロダクトに消費者がアクセスできるように環境を整えたり、企業へのコンサルティングを展開し日本にフェムテック市場を切り開くことをミッションと掲げました。

情報や製品に触れられる場の必要性

山岸さんは、昨今において性の話が個人のものになりすぎて、あまり表に出せなくなっている点も課題のひとつなのではと指摘します。もう少しオープンに、自分だけで悩むのではなく、他の人々と共有できたら良いのではと感じているそう。その点において中村さんも「必ずしも誰しもがオープンに話すべきだとは思っていません。話をしたい人が話せて情報を得たい人が得られる、そんな場が世の中にあることが重要なんです」と語ります。fermataが路面店の運営やイベント開催といった事業も展開している背景には、そのような場づくりも目的にありました。

当たり前に選べる「選択肢」を増やす

子連れの方向けのコワーキングスペースの運営など、働く女性の選択肢を増やす活動を行っている新岡さんは、どのような状況にある女性も「手にしたいものを自分の手で選ぶことが当たり前にできる」環境が重要だとお話します。フェムテックにおいては、健康課題を改善・解決できるプロダクトやサービスが続々と生まれている一方で、認知度が低かったり、1つ1つのプロダクトの生産数が少ないが故に高価格帯にならざるを得ない点が現状の課題です。そこをfermata​の活動が解決することで、求める人が当たり前に選べるような選択肢を増やすことに繋がると、中村さんは展望を語ります。

まとめ

日本国内において2020年は「フェムテック元年」と呼ばれるほど、認知度も市場も急速に拡大している状況です。しかし中村さんは「まだまだ女性の身体や健康課題についてはタブー視されているものも多く現在見えている需要は氷山の一角に過ぎないんです」と指摘します。女性が体や性の悩みを躊躇うことなく自覚し、解決できる選択肢に難なく辿り着けるという当たり前の社会実現に向けて、fermata​がもたらす価値観や固定観念のアップデートに大きな期待が寄せられます。 

 

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