カンファレンスレポート:北海道新聞社 Presents SDGs「完全循環型社会の実現」みんな参加型の循環型社会!〜2030年を決める10年〜

Date : 2022/1/18

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今世界では、海洋プラスティックゴミをはじめとするゴミの増加が問題視されています。一方で、あらゆる製品・エネルギーの原料となる、石油や金属などの地下資源を求めた争いが絶えません。そんな中、使用済み製品のリサイクルにより新しい製品を作る「資源循環」が注目されています。

本セッションでは、使用済みの衣料品を原料に新たな服や燃料を作って「資源循環」を実践し、地域、企業、消費者を巻き込んで「資源循環型社会」の構築を目指す日本環境設計取締役会長の岩元美智彦さんや、未来の担い手である高校生との交流を通じて、北海道の地域連携や地域再生のサポートに取り組む無印良品札幌パルコ土着化担当の鈴木恵一さんをゲストに迎え、取り組みについてお話を伺いました。モデレーターはヴォイス北海道のフリーアナウンサー国井美佐さんです。

セッションの詳細はこちらです。
なお、こちらのトークの全体はYouTubeでもご覧いただけます

リサイクルによる地上資源の経済圏を作り、消費者が楽しく参加できる循環型社会を目指す!

岩元美智彦さんは、日本環境設計の事業内容を説明。日本環境設計は、経済と環境が両立する持続可能な循環型社会の構築を目指して、ケミカルリサイクルによる商品開発(BRING)や、消費者にリサイクルについて楽しく学んでもらうためのプロジェクト・イベントなどを展開しています。

日本環境設計が展開する再生素材を使った洋服ブランド「BRING」の公式サイトはこちら

日本環境設計におけるリサイクルのポイントは、燃える地上資源を使っていることだと岩元さんは語ります。「燃えない無機物の金・銀・銅・レアメタルは、既に再生技術も市場もあります。しかし、燃えるものはリサイクルできているのか?という所に注目しました」。また、リサイクル方法の特徴としてはこう話します。「世界の一般的なリサイクル方法は、集めた原料を細かく切って洗って使うという方法です。原料に含まれる色(染料)や添加物は取ることが難しいので、リサイクルに制限があります。ですが燃えるものは、C・H・Oの3つの元素で構成されているので、これを一度解いて元素にすること(解重合)ができ、そうすると色(染料)や添加物を取り除けるのです。そして再び元素をくっつけます(重合)。一つの思考として元素は劣化しないので、解重合⇔重合の化学プロセスでリサイクルすると、物質は劣化しない。したがって1回や2回ではなく半永久的にリサイクルし続けられるのです。」

岩元さんは「循環型社会の主語は生活者(=消費者)で、生活者が参加型の社会にするべき!」と主張します。一方で、リサイクルに興味がない、もしくは行動しない人の割合は95%だと言われています。この95%の人を参加させるために、岩元さんは「楽しい企画」をたくさん実施しました。

最初の企画は、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンをリサイクル燃料で走らせること。岩元さんはハリウッドに提案し、どうにかデロリアンを入手。「リサイクルに参加するとデロリアンに乗って写真が撮れるという楽しい企画に、参加者の長蛇の列ができました。待ち時間に、参加者へリサイクルについての気づきの時間を提供することができました。3カ月で約6万人の来場者にお越しいただきました」と当時の様子を教えてくれました。

次に岩元さんが取り組んだのは、みんなで持ち寄った古着からバイオジェット燃料を作り、飛行機を飛ばすキャンペーンです。25万着もの服が集まり、今年(2021年)のはじめに、羽田→福岡便の飛行機を飛ばすことができました。

「やりたかったことは地上資源の経済圏を作ること」と岩元さん。「消費者が衣類やおもちゃなどをリサイクルに出し、それを小売店が拠点となって回収し、集まったものを原料にさまざまな企業がリサイクル技術を連携して地上資源を作り、それを使ってメーカーが商品を作り、店頭に並びます。地上資源由来の製品は、地下資源由来のものと比べても、品質は大きく変わらないので、消費者は地上資源由来のものを選んでくれるのです。そうして、流通のあらゆるプロセスの人たちが連携することで、効率よく地上資源を循環させるサイクルが少しずつできてきています」と岩元さんは地上資源の経済圏について説明。「みんなが地上資源由来の製品を買えば買うほど、経済はまわり、市場が大きくなることで地下資源の使用削減に貢献、さらに資源争奪戦争が無くなって平和にもつながる」といいこと尽くしの資源循環型社会を熱く語ってくれました。

岩元さんのお話に対して、国井さんは「自分がリサイクルに出したTシャツが、一対一の割合でTシャツとして再生され、かつCO2も削減されて、世界平和にも貢献できるという理想的な社会の実現がそこまできていることが分かりました。さらに、それを日本の企業がやっていることが誇らしいです」とコメントしました。

地域と店舗をつなげ、地域と一緒に課題に向き合っていきたい!

無印良品(株式会社良品計画)は日本環境設計と最初に連携し、いち早くリサイクル品の回収BOXを店舗に設置。鈴木恵一さんは、無印良品のビジョンや、自身の地域連携・地域再生のサポートに関する取り組みについて説明しました。「これまで良品計画の本業は、生活者の暮らしに役立つ『無印良品』の商品の企画・販売としてきましたが、これからは地域の課題に向き合い、ホテルや住宅の事業、未利用資源の活用など、地域にも役立つ活動も展開していきます。地域と店舗をつなげるプラットフォームを目指しています」と鈴木さんは話しました。

無印良品のカーボンニュートラルを目指した活動に関しては、水の販売を無くしたと語る鈴木さん。「一部の店舗では、店舗に無料の給水所を設置し、マイボトルで自由に給水できるようにしています。マイボトルを持参して無印良品で給水した際に、どれだけのCO2が削減できたかを可視化できるアプリも導入しました。また、水以外のお茶やジュースなどのドリンクに関しては、ペットボトルを廃止しアルミ缶で販売するように変更しました。」

また、鈴木さんが3年程前から奥尻高校生と一緒に取り組む活動について教えてくれました。離島にある奥尻高校は、(少子化などにより)存続が厳しかったものの、道立高校から町立高校へと生まれ変わり、今や全国から島留学生が進学しています。「奥尻の自然や人に触れる中で『第二のふるさとの奥尻を盛り上げたい!』と手を挙げる高校生と無印良品がコラボして『奥尻マルシェ』を函館で開催しました。高校生に奥尻の産品を持ち込んでもらって販売し、さらに校長先生や教育委員会にもご協力いただき島留学生の募集説明会なども実施しました」と鈴木さん。

奥尻高校とのコラボ活動は、海ゴミの問題へと続きます。奥尻の海は透明度が25mあり「奥尻ブルー」とも呼ばれる美しい海ですが、実は西側の外海はゴミがたくさん漂着しているそう。「このまま海を放置しておくと大好きな奥尻の海が無くなってしまうよと、高校生とも話していました。昨年は奥尻でのゴミ拾いやシンポジウムを計画していたものの、新型コロナの影響で実施できませんでした。来年以降、もう一度チャレンジしたいです」と今後の奥尻での活動意欲を聞かせてくれました。

国井さんは、「私も無印良品はずっと愛用してきましたが、単に品質が良くて使いやすいだけではなく、環境にもやさしいんだなと気づきました」とコメントしました。

ゴミ問題をまずは知っていただき、ゴミをどう減らしていくかを一緒に考えたい!

国井さんから鈴木さんへ、今後の活動展望について質問。それに対して鈴木さん。「海洋プラスティックゴミや、空気中にも浮遊するマイクロプラスティックの問題など、気づいていないことが世の中にはたくさんあるので、まずは知っていただき、ゴミとして流す量をどのように減らすかを一緒に考えていきたいと思っています。コロナ禍では、よく不織布マスクが道端に落ちていますが、マスクは拾いづらいという現状があります。ですが、これが排水溝を通じて海に流れていくのです。そういったことを知っていただくシンポジウムなどを開催していきたいと思います。」

「リサイクル」と「ものづくり」の両方のプロセスを見せる工場見学のテーマパークを作りたい!

話題は、将来北海道にケミカルリサイクル工場を作った場合の構想へと続きます。
「ただリサイクル工場があるだけでは、何も面白くない。工場見学が大事です」と岩元さん。川崎の工場で子供たちを対象に工場見学を実施した時のエピソードを踏まえて語ってくれました。
「以前子どもたちに、来る時にはボロボロの服を持ってきてもらって、帰りは新品の服を持って帰ってもらう試みをしました。リサイクル工場内に、(リサイクルの機械だけでなく)服を作る機械も設置。1つのリサイクル工場の中に、リサイクルするプロセスと、ものをつくるプロセスの両方があると、ボロボロだった自分の服が、新品のきれいな服に生まれ変わる所を実際に見ることができ、子どもたちの腹落ちが早いのです。もし北海道にリサイクル工場を作ることになった時には、リサイクル工場ではなく『リサイクルランド』にしたいと考えています。子供たちに『リサイクル』と『ものづくり』の両方のプロセスを一度に見てもらい、リサイクルを楽しく肌で感じてもらえるテーマパークのようにしたいです!」。
とてもワクワクする構想を岩元さんが熱く語ってくれました。


執筆:中田めい

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